「弔電(ちょうでん)」とは、身内や知人に不幸が起きた際、葬儀(そうぎ)に参列できない方が弔慰を伝えるために送る電報です。
電報サービスの多くは、インターネットで弔電の文例集を掲載しているため、初めて送る方でもスムーズに利用できます。
しかし、弔電を送る際に注意しなくてはならないのが、故人(こじん)に対しての「敬称」の使い方。弔電で使う敬称は普段あまり使うことがない特有の言葉が多いうえ、ケースバイケースで変わるので混乱してしまう可能性も……。
そこで、今回は敬称の使い方を読み方とともに解説します。
いざというときに備えて、ぜひ知っておいてください。
【そもそも敬称って何?】
敬称とは、人に対する敬意を表した言葉のことです。普段は「~さま」や「~殿」などがよく使われていますが、故人への敬称は特殊で、弔電を受け取る方からみた故人の関係によって変わってくるのです。つまり、多くの場合は喪主(もしゅ)となりますが、受取人にとって故人は夫に当たるのか、父に当たるのかなどで呼び名が変わります。ですので、弔電を出す際は受取人と故人との関係を確認しなくてはなりません。
このことを踏まえて、実際に敬称の一覧を読み方とあわせて見ていきましょう。
【受取人と故人の関係別敬称一覧】
故人が受取人の「父」である場合
ご尊父さま(ごそんぷさま)/お父さま(おとうさま)/お父上さま(おちちうえさま)
ご尊父さまは、最も丁寧な敬称ですが、お父さまやお父上などが使われることもあります。 ご自身と受取人との親密度で、どの敬称を使うかを選ぶとよいでしょう。
◆故人が受取人の「母」である場合
ご母堂さま(ごぼどうさま)/お母さま(おかあさま)/お母上さま(おははうえさま)
こちらも、ご母堂さまが最も丁寧な敬称ですが、ご自身と受取人との親密度で選びましょう。
◆故人が受取人の「夫」である場合
ご主人さま(ごしゅじんさま)/旦那さま(だんなさま)/ご夫君さま(ごふくんさま)
◆故人が受取人の「妻」である場合
ご令室さま(ごれいしつさま)/ご令閨さま(ごれいけいさま)/奥さま(おくさま)/奥方さま(おくがたさま)
◆故人が受取人の「祖父」である場合
ご祖父さま(ごそふさま)/御祖父さま(おじいさま)/祖父君(おじぎみ)
◆故人が受取人の「祖母」である場合
ご祖母さま(ごそぼさま)/御祖母さま(おばあさま)/祖母君(おばぎみ)
◆故人が受取人の「兄」である場合
ご令兄さま(ごれいけいさま)/兄上さま(あにうえさま)/お兄さま(おにいさま)
◆故人が受取人の「弟」である場合
ご令弟さま(ごれいていさま)/弟さま(おとうとさま)
◆故人が受取人の「姉」である場合
ご令姉さま(ごれいしさま)/姉上さま(あねうえさま)/お姉さま(おねえさま)
◆故人が受取人の「妹」である場合
ご令妹さま(ごれいまいさま)/妹さま(いもうとさま)
◆故人が受取人の「息子」である場合
ご令息さま(ごれいそくさま)/ご子息さま(ごしそくさま)
◆故人が受取人の「娘」である場合
ご令嬢さま(ごれいじょうさま)/ご息女さま(ごそくじょさま)/お嬢さま(おじょうさま)
◆故人が受取人の「伯父<父母の兄>」である場合
伯父さま(おじさま)/伯父上さま(おじうえさま)/ご令伯(ごれいはく)
◆故人が受取人の「伯母<父母の姉>」である場合
伯母さま(おばさま)/伯母上さま(おばうえさま)/ご令伯(ごれいはく)
◆故人が受取人の「叔父<父母の弟>」である場合
叔父さま(おじさま)/ご令淑(ごれいしゅく)
◆故人が受取人の「叔母<父母の妹>」である場合
叔母さま(おばさま)/ご令淑(ごれいしゅく)
◆故人が受取人の「夫の父」である場合
お舅さま(おしゅうとさま)/お父さま(おとうさま)/お父上さま(おちちうえさま)
このほか、「ご尊父さま」と呼ばれることもあります。
◆故人が受取人の「夫の母」である場合
お姑さま(おしゅうとめさま)/お母さま(おかあさま)/お母上さま(おははうえさま)
このほか、「ご母堂さま」と呼ばれることもあります。
※上記で触れたように、弔電に記載する敬称は非常に種類が多いので、間違えないように確認してから記載することが大切です。
【このようなケースにご注意】
◆受取人の「おじ・おば」が亡くなった場合
故人が受取人の親の兄か弟か、または姉か妹かによって敬称が変わります。「おじさま・おばさま」と読みは同じですが上記一覧の通り漢字が異なるので注意しましょう。
敬称の種類は非常に多いので、混同される方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、「受取人と故人の関係」で決まるとさえ知っていれば、一覧からスムーズに正しい敬称を調べることができます。いざという時のために、ぜひ覚えておいてくださいね。
【一般的な弔電の文例】
ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。
ご逝去の報に接し、心から哀悼の意を捧げます。
ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
ご訃報に接し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
在りし日のお姿を偲びつつ、ご冥福をお祈りいたします。
ご生前のご功績を偲び、謹んで哀悼の意を表します。
等です。
【忌み言葉を使わない】
忌み言葉とは、通夜や葬儀、告別式、弔電などで、使用しないように避ける言葉のことです。
次の言葉は、不幸が重なって起こることや、不幸が再び訪れることを連想させるため、忌み言葉とされています。
重ね重ね、重々、重ねて、たびたび、次々、再び、再三、何度も、また、しばしば、ますます、追って、返す返す、続いて、引き続き、なお、くれぐれも、いよいよ等。
また、「死亡」「死んだ」「生きていたころ」「生存中」などの直接的な言葉もふさわしくありません。もし使う場合は「ご逝去」「ご生前」「お元気なころ」などの言葉に置き換えましょう。
また、弔電を下さった方々にお礼状を手書きで出したりすると心がこもった気持ちが伝わり今後のお付き合いも円滑に行われると思います。
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